年をとることは美しい
年をとることは美しい
ななしは、2歳7か月。人間でいう90歳オーバーのおじいちゃんだ。
この1年で手足は細くなり、毛も少なくなった。歩き方もヨタヨタしていて、本当に年をとったなあと感じる。
ななしは半年前に心臓病にかかった。今は、心臓のポンプ機能が衰えて、肺に水が溜まりやすくなり、呼吸しにくい状態だ。今はゲージに常に酸素を注入し、心臓病の薬と肺から水を抜く利尿剤を投与している。
食べるななしは美しい。心臓病になるまで、ご飯を食べるななしを可愛いと思ったことはあるが美しいと思ったことはなかった。若いうちは空腹を満たすため、娯楽のための食事だった。
心臓病になってからは、生きるための食事になったと思う。
ななしは、豆腐をよく食べる。利尿剤の影響で喉が渇くため、豆腐の水分で補っているのだと思う。
人間もハムスターも例外なく死に向かって生きている。けれど、ご飯を食べているときだけ生に向かっている気がするのだ。
細い腕で体を支えながら皿に向き合う。たっぷり時間をかけてご飯を食べる。このヨレヨレの体こそがななしの年輪で、生き抜いてきた証拠なのだ。
これまでずっと一緒に過ごしてきた。やんちゃで夜中に騒いだり、台風での気圧の変化で体調を崩したり。良い時も悪い時もずっとずっと一緒にいた。
最近よく「老害」という言葉を耳にする。誰だって年をとる。他人に老害ということは、将来の自分を責めるような人間になりそうで嫌だ。
ななしを育てていなかったら、年をとることは恐怖に感じていたと思う。今も少し怖い。だけど、年をとることは美しいことだと心の底から思える。ななしとお揃いがいいから、食べる姿が美しい老人になりたいな。
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