酸素系男子との恋がはじまる

※こちらは、友達のまおちゃんが育てているハムスター「ちろる」が人間だったらこんな恋をしたいなと思って書いた作品です。正気の沙汰ではありません。ご理解がある人だけお読みください。

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いつも降りる3駅前で電車に乗ってくる男の子。

3車両目4つ目のドアにもたれかかる。きっと私の名前を知られることはないと思う。

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制服が違う男の子たちが入ってくる。中学のときの同級生たちで集まって投稿しているのだろうか。私はいつも一人で登校しているから少しだけ羨ましい。

男の子たちの中で、ちょっぴり華奢で笑顔が可愛いチロと呼ばれている子。笑ったときにできるえくぼに引き込まれそうになる。表情が豊かで見ちゃうんだよな。

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明日は三者面談。行きたい大学はない。ただ、大学には入った方がいいと思う。やりたいことはない。こんな簡単に人生を決めていいんだろうかと思うと、胃がキリキリする。なんだか、今日は空気が薄い…。

「大丈夫ですか?」

『え…』

あっ私、ストレスが体に出ていたんだ

『すみません…大丈夫です。ありがとうございます。』

「いやいや、次の駅で降りましょ。心配ですって」

『でも、遅刻しちゃう』

「大丈夫。気にしないで」

あとひと駅で学校の最寄り駅。頑張ろうと思えばいけた。でも休みたかった。

「はい、水」

『え、ありがとうございます。お金払いますね…』

「いいですいいです!かっこつけさせてください」

『お言葉に甘えて…』

『学校、遅刻ですよね…?』

「大丈夫、いつも遅刻してるから」

『ふふっ』

「あ、笑った」

『ちょっと元気出ました。ありがとう。』

「よかった。いつも、ちょっと下向いているから」

『え…』

「引きましたよね?俺、ずっと見てました」

『私のことですか?』

「そんな引いた目で見ないでくださいよ!」

『ふふっ、私も見てました』

「電車以外で会ってくれませんか?」

『喜んで』

世の中で一番冷たい水が美味しい。だけど、チロがくれた水はぬるくなってもちょっとずつ大事に飲みたいと思った。

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奇跡のような毎日

※こちらは、私が育てているハムスター「ななし」が人間だったらこんな恋をしたいなと思って書いた作品です。正気の沙汰ではありません。ご理解がある人だけお読みください。

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私は人気アイドル「chiro_choco」のメンバーななしと付き合っている

彼は週刊誌に追われているため、手を繋いで水族館デートをすることはおろか夜中に2人でコンビニへ行くことすらできない。

出会いは高校時代。図書委員をしていた私。彼は高校時代からアイドル研修生として注目を集めていた。そんな彼が唯一心を休められる場が図書室だったのだ。告白は彼から。たくさんファンがいる彼と付き合うことは重荷だったが、何回も気持ちを伝えてくれて付き合うことになった。

今は2人で同棲しているものの、忙しいななしとはすれ違いの生活。職業柄仕方ないとはいえ、この声も顔も独り占めできないのが寂しい。

『あのさ、今日家に帰ったら話したいことがある』

突然のLINE。今まで「話したいことがある」なんて言われたことがなかったから動揺している。何も音沙汰がなくて、急にこれ。絶対悪いことだよね。

あー、なんだかモヤモヤする。心を落ち着かせるために、テレビをつけた。

「人気アイドルグループchiro_chocoのメンバーななしさんと女優の真旺さんが熱愛」

テレビニュースでは、私と付き合っているはずのななしの熱愛報道をしていた。

ななしはそんなことをするはずがない、やさしいし背も高いしかっこいいしそつなくなんでもこなすし。完璧だから他の女性は放っておかないと思う。だけど、私だけを思っていると心から信じている。このまま家にいたら私、どんどん気持ちが沈んでしまう…。重くなった心を軽くするべく、私は外に出た。

外に出たものの何をしようか…。もう夜も遅いし、お店もやっていない。なにやっているんだろう、私。

自然と足が向いたのは、ななしと思い出の公園。1回だけ2人で外に出たことがあった。2人深くキャップを被ってタピオカを飲みながら話したな。あの時間がとてつもない奇跡に思えて涙が出てきた。

ななしが今日話したいことがあるって言っていたな。きっと別れ話ではないと思う。でも、報道をみてしまったので心穏やかなわけではない。帰ろうとしたそのとき

『ぴい!』

大きな声で話しかけてきたのは、愛おしい人、ななし。私を見つけて走ってくるやいなや抱きしめてきた。

「なにしているの!ここ外だよ!」と訴えると、よりいっそう強めてくる。ななしの甘くてあたたかい匂いに涙が出そうになった。

『報道みた?ごめん。でも、真旺さんとはなにもないんだ…。信じてほしい』

「うん、信じている。大丈夫だよ」

『ドラマの打ち上げでたまたま帰りが一緒になった、それだけ』

「うん。ななしがこんなに私に惚れているのに、疑うわけないじゃん」

『ありがとう。愛してる』

ななしとは、一生結婚できないと思う。ななしの仕事も大切にしたい。このまま2人の関係がなくなるかもしれないし。未来のことはわからない。

でも、こうやって一緒に過ごせている奇跡のような時間を大切にしたい。私こそ愛しているよ、ななし。

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