実績2
実績1
屋上の柵に足をかける人
就活中、精神病を患った。社会が求めているものに、自分をすり合わせている気がして自信を失った。模範的な就活生でない自分は、世間から求められていない人間なのだと思った。
生きるやる気が出ず、殺してくれと思った。独房のような狭い大学の寮、薄い壁と知っていながら毎日叫ぶように泣いた。同じ学年の寮生は、“いい就職先”を見つけ、“いい友人”として私を心配した。その心配がとてもつらかった。
私は安定のために理系大学に進学した。それなのに、斜陽産業と言われている出版社を受け続けた。その理由も曖昧でミーハーな自分は、本当に出版業界を志している人に勝ち目はない。なのになぜ諦めることができないんだろうと思っていた。
かろうじて出版業界で働けるようになったものの、安月給。生きるのが本当に苦しい。だけどなんで他業界に転職したいと思わないのだろう。
最近、その理由がわかってきた気がする。
あなたと知らない人が屋上にいる。知らない人が柵に足をかけようとしている。
きっと、あなたは声をかける、抱きしめる、大丈夫だよって。
言葉にはそんなパワーがある。肌と肌で触れ合わなくても、知らない人でも温かく包み込むことができる。
屋上の柵に足をかけようとしている人は、自分自身だったりするのだ。
私は、自分のような生きるのがつらくて、毎日隕石を望んでいるような人を、抱きしめたいんだと思う。
頭がいい人、美人な人が正とされる世の中。全ての人が正だって思える未来を、自分のような人間にプレゼントしたいのだ。
大丈夫。大丈夫。ちょっとずつ前に進もう。今の道で間違っていないよ。
タグ: 生きるのむずい年をとることは美しい
年をとることは美しい
ななしは、2歳7か月。人間でいう90歳オーバーのおじいちゃんだ。
この1年で手足は細くなり、毛も少なくなった。歩き方もヨタヨタしていて、本当に年をとったなあと感じる。
ななしは半年前に心臓病にかかった。今は、心臓のポンプ機能が衰えて、肺に水が溜まりやすくなり、呼吸しにくい状態だ。今はゲージに常に酸素を注入し、心臓病の薬と肺から水を抜く利尿剤を投与している。
食べるななしは美しい。心臓病になるまで、ご飯を食べるななしを可愛いと思ったことはあるが美しいと思ったことはなかった。若いうちは空腹を満たすため、娯楽のための食事だった。
心臓病になってからは、生きるための食事になったと思う。
ななしは、豆腐をよく食べる。利尿剤の影響で喉が渇くため、豆腐の水分で補っているのだと思う。
人間もハムスターも例外なく死に向かって生きている。けれど、ご飯を食べているときだけ生に向かっている気がするのだ。
細い腕で体を支えながら皿に向き合う。たっぷり時間をかけてご飯を食べる。このヨレヨレの体こそがななしの年輪で、生き抜いてきた証拠なのだ。
これまでずっと一緒に過ごしてきた。やんちゃで夜中に騒いだり、台風での気圧の変化で体調を崩したり。良い時も悪い時もずっとずっと一緒にいた。
最近よく「老害」という言葉を耳にする。誰だって年をとる。他人に老害ということは、将来の自分を責めるような人間になりそうで嫌だ。
ななしを育てていなかったら、年をとることは恐怖に感じていたと思う。今も少し怖い。だけど、年をとることは美しいことだと心の底から思える。ななしとお揃いがいいから、食べる姿が美しい老人になりたいな。
タグ: ななしについてときめきのぴーたんがハムスターになった世界線の恋愛
私(ときめきのぴーたん、略してぴー)は育てているハムスター「ななし」が人間だったらこんな恋愛がしたいなーと妄想し、日頃から夢小説を書いていました。
しかし、ななしを擬人化するのに、自分自身を擬ハムスター化しないことに対して傲慢さを感じていました。
今回は、自分がハムスターになったつもりで夢小説を書きます。ただし、ハムスター語は人間にとって解読が難しいため、字幕をつけてお届けします。
本記事は、正気の沙汰ではありません。ご理解がある人だけお読みください。
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※ななしは、嬉しいとき「プップ」と、イライラしている時「ジージー」「プギャー」といいます。
「プップッ。プププップ。プップッープププッププププップ。」
(私はぴー。ななしさんに恋する4ヶ月の女の子。ななしさんは年上で2歳7ヶ月のダンディおじいちゃん。余裕があるところがすきなんだー。)
「プププップ、プププ」
(ななしさん、私大好きです!)
『ジージー、ジージープギャー』
(ごめん。その気持ちには応えられない)
「ジー?プギャープッ」
(なんで?こんなに好きなのに)
『プギャー!ジージージ』
(しつこいぞ!おやつの白魚でも食べとけ…。)
「ジージージー!ジージー」
(子供扱いしないで!理由だけでも教えてください)
『…』
(…)
「プッ、プップッ。プププッププププップ?」
(じゃあ、あきらめます。だけど最後にキスしてもいいですか?)
『ジージー』
(…だめだ)
ちゅっ(ぴーがキスする音)
ギュッ(ななしがぴーを抱きしめる音)
「プププップ?」
(ななしさん?)
『プププッ…。プププッププププップ。ジープププッ。ジー』
(本当は好きだった…。でも年の差を考えて自制してたんだ。でも、止められそうにない。ごめん)
「ジージー、プププップ」
(年なんて関係ないじゃない…。好きよ)
『プププップ。ププ。』
(ぴー、大好きだ。もう離さない。)
火災報知器
※こちらは、私が育てているハムスター「ななし」と友達のまおちゃんが育てているハムスター「ちろる」が人間だったらこんな恋をしているかもしれないと思って書いた作品です。正気の沙汰ではありません。ご理解がある人だけお読みください。
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学校、家族、塾…。何も不満がないはずなのに、心の奥底にあるフラストレーションが僕を動かす。静まり返った放課後、廊下の火災報知器を今日も鳴らしてしまう。
僕は、優等生で友達は少ない。誰も僕が火災報知器を鳴らしているとは、思わないだろう。
何が不満なのか分からない。今までの人生で、勉強に困ったことはなく、家庭環境も恵まれている方だ。淡々と過ごす毎日に飽きてしまったわけでもない。
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金曜日、クラスメイトが部活に励んでいる午後5時。いつものように火災報知器を鳴らそうとしていた。
「おい、何しているんだ!ななし」
叫んだのは、クラスメイトの村上ちろるだった。今の僕は火災報知器に触れる寸前、言い逃れはできない。
『ごめんなさい。誰にも言わないでもらえるかな』
「いいけど、何か嫌なことでもあったか?」
なぜ理由を聞かれないといけないのか。村上は、僕のことを下の名前で呼ぶ。学校で一回も話したことはないのに。距離が近くて、直感で苦手だと思った。
『別に…』
「このことを言わないかわりにさ…ちょっとお願いしたいことがあるんだけど」
『何?』
「次の期末試験、赤点とったらマジでやばいから勉強教えてくれない?」
火災報知器を鳴らしていたことをバラされると困る。
『いいけど』
「よっしゃ!じゃあ月水金の放課後、図書室集合な。俺、部活行ってくるわ」
嵐のように去っていった。その翌週から僕と村上の自主勉がはじまった。
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「まじで分かんない…。点P動くなよ…」
『ここをXで代入してみて。Yの値が出るはず』
「えっ、ほんとじゃん。気がつかなった。ななしって頭良いんだな」
『…』
村上の距離の近さに戸惑うことはあったが、世間話をするでもなく勉強のことだけ話していたので居心地は悪くなかった。
そして思っていたよりも村上は地頭がよく、テスト範囲の単元をすぐに理解してくれた。
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『じゃあ、問題集p112~114の応用問題を解いてみて。できたら教えて』
気づいたら眠ってしまっていた。唇に何かが当たる触感で目覚めた。
「あ、起きたのか」
『え…さっきの何?』
「気のせいだって」
『気のせいじゃないよ。キスしたよね?』
「何が悪いの?」
開き直ったことに驚きを隠せず、フリーズしていたらまたキスをされた。
『なんでキスするの?』
「好きだから」
『僕は…僕は好きじゃない。嫌いだ!気持ち悪い』
そう叫ぶと、後ろを振り返ることなく図書室を出た。嘘であってほしい。明日になったら、何もなかったかのように振るまおう。
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翌朝学校につくと、クラスがザワついていた。
(ななしくんって、ちろるが好きだったんだね)
(バスケ部で1番モテているちろるくんに告白とか、身のほど知らずだよね)
どうやら、僕が村上に告白したと嘘を垂れ流したらしい。堪えきれず、村上を図書室に呼び出した。
『どうして…どうしてあんな嘘をついたの…』
「ななしの居場所が俺だけになれば好きになってくれると思って」
『逆効果だよ…。これからどうやって過ごしていけばいいんだよ…』
「俺と一緒に過ごせばいいじゃん。何が不満なの?」
『だって僕、村上のこと何も知らない…。勝手にキスするし、意味分かんないよ』
「これから知っていけばいいじゃん。俺はななしが好きなんだよ」
そう村上は小さく呟いた。とろけるような瞳。ぼーっと眺めていたら、甘く、噛みつくようなキスをされた。
頭が動かず、抵抗できない。いや、したくないんだと思う。認めたくはないけれど。しばらく動けずにいると、唇は首へ鎖骨へ下がっていき、鋭い痛みを感じた。
『痛い!』
「ななしに嫌いって言われて、俺はもっと痛かったよ」
痛みがどんどん強くなっていく。血が滲むような痛さ。容赦なく歯がくいこむ。
「これで痕がついたね」
「ちろるって呼んでよ、ねえ」
どんどんちろるに侵食されていく、侵食されていく…。
もう僕には学校に居場所がないし、ちろると二人で過ごしてもいいのかもしれない。学校の人気者ちろるが正しく、モブの僕が正しくないのだから。
毎日をそつなくこなしていくことが好き、変化が嫌いだと思ってこんでいた。
僕は変化が怖かったのだ。そんな恐怖をちろるは簡単に跳ね除けてしまう。火災報知器を鳴らしたのは、僕の抵抗で、求めていた刺激なのかもしれない。
火災報知器を鳴らすことよりも魅力的で、刺激的なちろる。夕日が差し込む放課後の図書室。二人きりの甘美な時間から僕は抜け出せないかもしれない。
タグ: 夢小説スパダリとデートできて家がピカピカになる方法
スパダリとデートできて家がピカピカになる方法
デート中、1番楽しい時間はいつだろうか。
食事をしている時間?イチャイチャしている時間?
いいえ、違います。デート前日に、いい感じのパックをつけながらネイルしているデートの準備時間です。(※個人差あり)
話は変わって、私は毎週金曜日の真夜中、家中をピカピカにしている。
この時間をジャニーズとのデートタイムと呼んでいる。
ジャニーズの人たちは、外で堂々とデートできないだろう。必然的におうちデートになる。土曜日、私の家に招くつもりで水まわり、床、目につく全てのものを磨き上げている。
私のなかで、「人間は自分一人のために生きていくには限界がある」という考えがある。自分一人のために、家を綺麗にするのは難しい。誰かに家を見られるのであれば、何とか頑張れそう。だから、ジャニーズが家に来ると思い込んで掃除している。
掃除をするとき、ジャニーズの○○くんが来る、と個人を特定して妄想することはしない。なんとなくその人に申し訳ないのと、雀の涙のような自尊心を保つため。
ひとしきり綺麗にすると、ドーパミンが出る。金曜日はだいたい仕事でやることが終わらなくて残業をするが、掃除をすると疲れやストレスを忘れることができる。
掃除中おすすめの音楽は、ORANGERANGEの「ラヴ・パレード」とMy Hair is Badの「虜」。
ラヴ・パレードは、彼女を家に招くために部屋を掃除する歌。私と全く同じシチュエーションなのだ。同士と一緒に掃除している気分で励まされる。
虜は、ミュージシャンの彼が一般人彼女への愛を伝える歌だ。ジャニーズの彼に愛される私と同じじゃないか。こんな気持ちで愛してくれていたのね、と微笑ましい気持ちになる。
この2曲を聴くことで愛し、愛されている気持ちになる。いうなれば、バーチャル恋愛のリアル度を高めてくれるチートアイテムのようなもの。
週末、ピカピカの部屋で一人過ごす。一人で過ごすという事実は変わらないのであれば、汚い部屋で過ごすより綺麗な部屋で過ごす方がいいだろう。
この恋、人には言えない(色んな意味で)。私は、背徳感がある金曜日深夜のデートがやめられない。
タグ: ライフハックブロック癖、人間関係リセット癖があってもいいでしょう
ブロック癖、人間関係リセット癖があってもいいでしょう。
「自分は人間関係をリセットする癖がある」「LINEのアカウントを消したくなる」などと悩んでいる人も多いのでは。
私は、SNSのブロック癖や、人間関係のリセット癖があってもいいと思っている。
ブロックするかどうか悩む相手は、どんな人か。連絡が来たらちょっとうれしいけれど、不快な思い出がある人ではないだろうか。(そうではなかったらごめんなさい)
ブロックするか悩むのは、相手から連絡がくるかもしれないと思っているからなのでは?
万が一相手から連絡が来ても、今後もいい関係が保てるとは私は思えない。
相手からの連絡を、相手のペースで受け取る。何も構えていない受け身の状態なので、不快な思いをしても咄嗟に言い返せないかもしれない。
また、相手から連絡が来るかどうか分からない宙ぶらりんの状態は、精神的負担になる。
衝動的ではなく、長い間ブロックするか悩んでいるくらいなら、思い切って1回リセットしてもいいと思っている。難しいなら、そのままでいいんだけどね。
「もう繋がっていないんだ」「断ち切ったんだ」という開放感から、自分を取り戻せるかもしれない。
LINEの場合ブロック削除しない限り、再度連絡することができる。この場合、自分からアクションするので受け身にならなくて済む。
人間誰しも、誰かと喧嘩することがある。そこから疎遠になることがある。それを「価値観のズレ」と表現するのか「リセット癖」と表現するのか。自分を無理に追い込まなくても大丈夫。
本当に縁があるのであれば、きっとまた元の関係に戻れるはず。
最近、大学の知り合いを10人以上ブロックした自分に言い聞かせながら書いている。大丈夫。
タグ: 生きるのむずい酸素系男子との恋がはじまる
※こちらは、友達のまおちゃんが育てているハムスター「ちろる」が人間だったらこんな恋をしたいなと思って書いた作品です。正気の沙汰ではありません。ご理解がある人だけお読みください。
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いつも降りる3駅前で電車に乗ってくる男の子。
3車両目4つ目のドアにもたれかかる。きっと私の名前を知られることはないと思う。
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制服が違う男の子たちが入ってくる。中学のときの同級生たちで集まって投稿しているのだろうか。私はいつも一人で登校しているから少しだけ羨ましい。
男の子たちの中で、ちょっぴり華奢で笑顔が可愛いチロと呼ばれている子。笑ったときにできるえくぼに引き込まれそうになる。表情が豊かで見ちゃうんだよな。
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明日は三者面談。行きたい大学はない。ただ、大学には入った方がいいと思う。やりたいことはない。こんな簡単に人生を決めていいんだろうかと思うと、胃がキリキリする。なんだか、今日は空気が薄い…。
「大丈夫ですか?」
『え…』
あっ私、ストレスが体に出ていたんだ
『すみません…大丈夫です。ありがとうございます。』
「いやいや、次の駅で降りましょ。心配ですって」
『でも、遅刻しちゃう』
「大丈夫。気にしないで」
あとひと駅で学校の最寄り駅。頑張ろうと思えばいけた。でも休みたかった。
「はい、水」
『え、ありがとうございます。お金払いますね…』
「いいですいいです!かっこつけさせてください」
『お言葉に甘えて…』
『学校、遅刻ですよね…?』
「大丈夫、いつも遅刻してるから」
『ふふっ』
「あ、笑った」
『ちょっと元気出ました。ありがとう。』
「よかった。いつも、ちょっと下向いているから」
『え…』
「引きましたよね?俺、ずっと見てました」
『私のことですか?』
「そんな引いた目で見ないでくださいよ!」
『ふふっ、私も見てました』
「電車以外で会ってくれませんか?」
『喜んで』
世の中で一番冷たい水が美味しい。だけど、チロがくれた水はぬるくなってもちょっとずつ大事に飲みたいと思った。
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